SteamMagiaProject - 魔律銃

魔律銃とは

 正式名称「エーテル自動調律型銃火器」。一般的には「魔律銃」と呼称される。20世紀中頃に初めて原型となるものが開発された。

概要

 グリップ部分に設置された魔法鉱石を液状化したものによって、使用者が銃に送り込むエーテル量が少ない/多いに関わらず、適切な量になるよう調整される小型拳銃。
 銃身下部の極小蒸気機関によりエーテルを圧縮し、装填された弾の薬莢内部に描かれた陣術に作用。発砲・着弾と同時に『魔法』が作動する。
 使用可能とされる弾で現在開発されているのは、【炎】【水】【氷】【雷】【光】 の5種類である。

開発経緯

 『才能に拠る所が大きい魔法を、万人が等しく安定した出力で行使出来るようにしたい』
 そんな思いから蒸気機関や陣術を用いた杖に代わるものを開発しようという動きが出始めたのが1870年代のこと。
 やがて20世紀中頃。蒸気技師であり魔法研究者でもあったジョン・ジョセフ・ブラウニングにより、魔律銃の原型が作成される。
 当時は銃火器に魔法技術を使用し一般に普及しようとしたことも含め様々な議論を呼んだが、特殊な技術と莫大な開発費用が必要であることから現在に至るまで大きく取り上げられることもなく、研究・開発者もごく僅かに限られている。

構造

 基本的にはフリントロック式銃を模して製作されている。
 グリップ部分に液状化した魔法鉱石を収めるため特殊な強化ガラスが設置されており、使用者がエーテルを送り込みやすいように作られている。
 一般的に銃身は長く*1、発射速度を高める傾向にある。これは一発ずつ装填しなければならない構造から連射性に欠ける点を改善しようと、使用者にかかる反動を軽減する目的がある。

 発砲までの操作、動きは以下の通りである。

・銃口から弾を詰める。
・撃鉄を少し起こして、ハーフコック・ポジションにする。一種の安全装置でありハーフコック・ポジションでは引き金を引けない。
・グリップを握りエーテルを送り込む。これにより撃鉄は自動的にコック・ポジションとなり、発砲準備が完了する。
・引き金を引く。
・銃身下部に設置された極小蒸気機関によりエーテルが圧縮、弾の薬莢内部に描かれた陣術を発動させる。
・弾丸が銃身を通ることにより弾丸内にエーテルを循環させながら発射。
・着弾。弾丸内のエーテル循環により弾丸内で構築された固有の魔術が発動する。
 弾丸部分にはそれぞれ固有の魔法粒子*2が内包されており、1つの弾丸につき1種類の魔法が発動するようになっている。
 弾丸内をエーテルが循環することにより内部で魔法が完成され、着弾時に弾丸の外殻が破壊されると同時に魔法が発現するのだが、不発となる事例も少なくないため「魔法が完成しているのかしていないのかは着弾しなければ分からない」と言われる。

問題点

魔法鉱石の液状化
 液状化する魔法鉱石は基本的に純度が高いものを要求される。主にハイランドの山脈から採掘される魔法鉱石を使用しており、また液状化においても特殊な技術を必要とする為コストがかさむ。
薬莢内部の陣術
 正確な陣術を紙面に比べごく小さな薬莢内部に刻み込むには相当の技術を要求され、また量産性に劣る。
 現代陣術学を元に何度か試作と実験が行われているが、どれも実用にまでは至っていない。
銃の耐久性
 エーテル量を魔法鉱石と蒸気機関によりコントロールする銃自身が、それら全ての負荷に耐え切れず破壊に至ることが近年明らかとなった。
 主に銃身への負荷が高く、引き金を引いたと共に腔発することが確認されている。
 対策として
 ・銃身に外殻を取り付けることにより、形を固定する。
 ・内部圧力を調整するため調整用のギアを組み込む。
 ・銃口付近に鉱石を用いた部品を取り付けることにより、発射時に発生する余分な魔力を放出させる。
 などの実験が行われている。

今後の展望

 現状、開発当初よりはいくらか軽減されたものの開発費用がかさむ「金食い虫」と見られている点が多い。
 しかし開発が進み警察や軍へ導入されれば、やがてブリテン史に刻まれる変化になるとも言えるだろう。
 魔律銃の研究者各位は常に研究への出資者を募っている。

関連項目

カルタネド技術団に所属する技師。魔律銃に関する研究知識と技術の多くを所持している。