一人の少女が18歳で空軍に入隊した。
彼女は一年後、突如として少尉に任命され、パイロットとして配属される。
誰もがその出自を訝しんだが、長年空軍に勤めたある老整備士には、その理由は明白だった。
「よお。さすがにあんたはまだ生きてたか、しぶといな。ところでおれの"スカー"はどこだい?」
そう、彼女は、かつて腕を鳴らした亡きパイロット、ウォルト・ブロウの記憶をそっくり受け継いだ、生まれ変わりだったのである。
18歳で空軍に入隊。筆記、実技ともに優秀な成績を収めるものの、授業は寝てばかりだった。
19歳の時分に、突如として王室から直接に少尉へ任命され、パイロットとして最前線に配属される。
懐かしさから再会を果たした「老いた生き残り」の旧友たちが、彼女を前線に出して貰えるよう王室へ働きかけたのである。
「変態的」とも称される抜群の飛行技術で、文字通り他の追随を許さない。
すすき色の髪の女性。常にぼんやりとした顔をしており、寝ていることも多い。これといって服装にも気を留めておらず、ほとんどの時間は、空軍から支給されるパイロット向けのツナギを着てぼうっと空を見ている。
無気力。とにかくぼうっとしており、特徴もない。
性格は故ウォルト将軍そのものであるため、喋り方は粗野。
空を飛ぶこと以外への興味はほとんどない。
前世においてもその性格のため、協調性はないものと思われていた。
しかし次々と友人たちが撃墜されていく最悪の劣勢の中、彼が下した決断は、「味方を死守する」という選択だった。
自分より上の階級の人間がいなくなったと見るや、撤退命令を出し、無貌の"スカーフェイス"は姿を現して、猛撃の中を異次元を泳ぐように掻い潜りながら、支援砲撃艦隊の到着と友軍機の帰還までの時間を稼ぎ、空に散った。
とくに理由はなく、最善を尽くしたと彼(彼女)は言う。
自己申告の通り、普段から特に何も考えておらず、ごく当たり前のように従軍している。
空以外に興味はないが、実際のところ機体や航空戦に強い興味があるというわけでもなく、何を喋っても「ぼうっとしている」以外の印象を抱くことは難しい。
そのくせ人並みに皮肉は言う。
特に、空軍志願の新兵に対しては、「自殺志願者(Suicide Mania)」と揶揄するなど、よくからかってケラケラ笑っているところが見られる。
空軍出撃機の帰還率の低さを鑑みるに、とんだブラックジョークではある。
大戦期はまだ試作機だったブラムブリングA-07型機に搭乗。
前面の修復跡が傷のように見えることから、通称"スカーフェイス"と呼ばれた。
現在は主戦力のカルチャー/ブラムブリングH型機に搭乗しているが、"スカーフェイス"と同じ位置にペイントを入れている。
求愛されている。が、まるで興味が沸かない。
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